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2026.01.21
あきた次世代エネルギーコンソーシアム情報交換会
あきた次世代エネルギーコンソーシアム(ANEC)は、会員間の知見共有と次世代エネルギー実装に向けた連携強化を目的として、「情報交換会」を開催しました。当日は足元の悪い中にもかかわらず、多くの会員・関係機関の皆さまにご参加いただき、活発な意見交換が行われました。
あいさつ

開会にあたり、ANEC佐藤副会長より挨拶がありました。
佐藤副会長は、2023年7月7日の設立から約2年半が経過したANECの活動を振り返り、「再生可能エネルギーと次世代エネルギーの接続と実装は、世界情勢の変化などにより当初想定よりも容易ではないが、カーボンニュートラルに向かう流れは決して止まらない。私たちの進む方向は正しい」と強調しました。
そして、「ANECという中立的な連携の場を最大限活用し、秋田における次世代エネルギーの社会実装を皆さまと共に前進させたい」と、会員への協力を呼びかけました。
【環境省委託事業】秋田市における水素サプライチェーン構想作成支援に関するご報告

続いて、合同会社デロイト トーマツ マネージャーの鳥山康弘氏より、環境省委託事業として実施された「秋田市における水素サプライチェーン構想作成支援」の進捗報告が行われました。本事業は、秋田市およびANECと連携し、地域再生可能エネルギーを活用した水素利活用モデルの構築を検討するものです。
■ 水素を取り巻く背景
鳥山氏は、2050年カーボンニュートラル達成に向け、再生可能エネルギーの大幅導入が不可欠である一方、
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天候に左右される発電変動
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系統制約
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高温熱・長距離輸送など電化困難分野(ハードトゥアベート産業・大型輸送)
といった課題が存在することを指摘しました。
これらの解決策として、水素は「脱炭素燃料」だけでなく「大規模・長期蓄エネルギー媒体」として不可欠であり、地域分散型エネルギーシステムの中核になり得ると説明されました。
■ 秋田市のエネルギー需給試算
本調査では、秋田市の2050年エネルギー需給を推計し、電気・熱の脱炭素化を再エネ主体で賄う場合、現状の配電系統容量を大幅に上回る再エネ設備導入が必要になることが示されました。
特に、
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冬季に発電量が増える風力
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夏季に電力需要が高まる需要構造
の間に季節間ギャップ(シーズンシフト)が存在し、これを埋める手段として水素による長期エネルギー貯蔵の重要性が強調されました。
■ 地域事業者ヒアリング結果
秋田市内外の発電事業者、輸送事業者、需要家、金融機関、自治体、大学等へのヒアリングを実施し、
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FIT制度下では余剰再エネ電力の柔軟活用が難しい
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水素輸送・貯蔵の制度・コスト課題
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需要家側の脱炭素ニーズの温度差
など、現実的な課題が整理されました。
一方で、
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FITからFIP・コーポレートPPAへの転換
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再エネ電源を束ねるアグリゲーター構想
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工業団地や製造業での熱利用可能性
といった将来モデルの方向性も示されました。
■ パイロットモデルと事業性評価
風力発電の出力抑制電力を活用し、水電解で水素を製造、圧縮輸送して工業炉の燃料として利用するモデルを試算した結果、現時点ではコストと販売価格の大きな乖離があり、補助制度・技術革新・カーボンプライシング進展を組み合わせることで、2035年頃に採算成立の可能性が見えてくるとの分析が示されました。
■ 今後に向けて
鳥山氏は最後に、
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地域の再エネ大量導入
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系統制約を補う蓄エネ(水素・蓄電池)の併用
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作る・貯める・運ぶ・使うの全体連携
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中立的な連携組織としてのANECの継続的役割
が不可欠であるとまとめ、「水素は単なる燃料ではなく、秋田の脱炭素エネルギーシステムを成立させる“要”である」と強調しました。
質疑応答
講演後には、参加者から具体的な質問が寄せられました。

質問者 秋田県産業技術センター 遠田氏
「現在の試算では、水素の製造コストと販売価格に大きな差があり、需要地・供給地とも存在しない地域で水素事業を成立させるのは非常に困難に見える。実現には国の大胆な補助や需要・供給の“半強制的”創出が必要ではないか。また、デマンド抑制(蓄電池等によるピーク平準化)とセットで考える必要があるのではないか。」
回答 合同会社デロイト トーマツ マネージャー 鳥山氏
「ご指摘の通り、現時点で自然成立するビジネスモデルではないのが実情です。
現在、経済産業省では水素・アンモニアに対する価格差支援制度が検討されており、今後の制度設計が重要なカギになります。
また、エネルギーシステム全体として、発電・蓄エネ・需要制御を統合的に設計することが不可欠です。
デマンドレスポンスや蓄電池によるピーク抑制と、水素による長期・大容量蓄エネを組み合わせ、地域全体で最適なエネルギーマネジメントを構築する必要があります。」
「国内最先端の新エネルギー産業都市」に向けた秋田市の取組状況について

続いて、秋田市新エネルギー産業推進担当部長の
新出康史氏より、秋田市が進める新エネルギー産業都市形成に向けた取り組み状況について講演が行われました。
■ 秋田市が目指す都市像
新出氏は冒頭、秋田市が掲げる将来像として、「国内最先端の新エネルギー産業都市の実現」を明確に打ち出していることを紹介しました。
秋田市は、
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豊富な風力・太陽光など再生可能エネルギー資源
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港湾・工業団地などの産業インフラ
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北東北の物流拠点性
といった強みを有しており、これらを最大限活かして“エネルギーをつくる都市”から“エネルギー産業を生み出す都市”へ転換を図っていると説明されました。
■ 重点プロジェクトの展開
現在、秋田市では次のような重点施策が進められています。
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洋上風力発電を核とした再エネ拠点形成
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再エネ由来電力を活用した水素製造・利活用検討
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蓄電池・エネルギーマネジメント実証
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企業誘致・産業集積の推進
これらを通じて、エネルギー供給・利用・産業振興を一体で進める都市モデルの構築を目指していることが紹介されました。
■ 産学官金連携の重要性
新出氏は、エネルギー転換は行政単独では成し得ない取り組みであり、
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民間事業者の技術・投資
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大学・研究機関の知見
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金融機関の支援
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地域住民の理解
を結集することが不可欠であると強調しました。その中で、ANECは分野横断的な連携を生み出す中立的プラットフォームとして重要な役割を果たしており、「今後もANECと連携し、秋田発の新エネルギー産業創出を加速させたい」
と述べられました。
■ 今後の展望
最後に新出氏は、
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再エネ大量導入時代の到来
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系統制約を克服する蓄エネルギーの必要性
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水素をはじめとする次世代エネルギーの社会実装
を見据え、“秋田が日本のエネルギー転換をリードする都市になる”という強い決意を示し、講演を締めくくられました。
質疑応答

質問者 ANEC 三國幹事長
「秋田市が目指す“国内最先端の新エネルギー産業都市”の実現に向け、
民間企業が参画しやすくなる具体的な支援策や今後の企業誘致方針について教えてください。」
回答者 秋田市新エネルギー産業推進担当部長 新出氏
「秋田市では、再生可能エネルギー関連企業の立地促進に向け、
工業団地の整備、用地確保支援、企業立地補助制度の拡充を進めています。
また、実証事業への参画機会の提供や、国の補助事業とのマッチング支援など、
“実証から事業化までを地域で伴走支援する仕組み” を整えつつあります。
今後は、洋上風力・水素・蓄電池などの重点分野において、
ANECを通じた企業間連携を促進し、秋田で技術開発・実証・商用化が一体で進む環境づくり をさらに強化してまいります。」
情報交換終了後には、会員相互の親睦を深めるため、新年会も開催され、いずれも盛会のうちに終了いたしました。
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