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2025.09.22

2025.09.09 あきた次世代エネルギーコンソーシアム『第3期定時総会・講演会』

第3期定時総会・講演会を開催しました

あきた次世代エネルギーコンソーシアム(ANEC)は、令和7年9月9日、「第3期定時総会・講演会」を開催しました。当日は4578名と会員企業・団体をはじめ、多くの関係者の皆さまにご出席いただき、次世代エネルギーをめぐる最新の動向と、今後の地域における取り組みについて活発な議論が行われました。

 

開会の挨拶

総会は司会の伊藤氏より開会が宣言され、まず浜岡会長からご挨拶がありました。

浜岡会長は、これまでの活動を振り返りながら次のように述べました。

「風力発電をはじめ、再生可能エネルギーを取り巻く環境は大きく変化しています。当初の計画が見直される局面もありますが、これは私たちにとって時間的猶予とも捉えられます。この間に地域の知恵を結集し、政策提言を含め新たな道を切り拓く機会にしたいと考えています」

また、エネルギー活用に関しては「発電会社1社に限らず、多様な用途に供給できる仕組みをつくる必要がある」と指摘し、会員とともに国や県へ積極的に意見発信していく姿勢を強調しました。

 

沼谷秋田市長からのご祝辞

続いて、当コンソーシアム顧問に新たに就任された沼谷秋田市長から祝辞が寄せられました。

沼谷市長は、国のカーボンニュートラル政策の方向性は揺るがないことを確認した上で、

「この機を捉えて、秋田市としても工業団地の整備や水素・アンモニアなど次世代技術の導入に取り組みたい。秋田沖で生まれる再生可能エネルギーを地域産業へ確実に還元し、新しい産業形成へとつなげていく」

と述べられました。

 

第3期定時総会

 

議事報告

その後、議長に浜岡会長が選出され、第3期事業報告・収支決算について審議・承認されました。

主な活動内容

  • 定時総会・講演会20247月)
    日立造船株式会社による脱炭素化への取り組み講演を開催。
  • 講演会シリーズ
    • 2024年9月:「水素エネルギーの展望と秋田地域への期待」(九州大学 佐々木教授)
    • 2025年1月:「次世代モビリティと再生可能エネルギー活用」(伊藤忠商事 深尾氏)
    • 2025年4月:「福井水素エネルギー協議会の取り組み」(海藤氏)および「秋田の再エネ利用カスケード」(佐藤副会長)
  • 視察研修
    千代田化工建設や東京ガス横浜テクノステーション、米倉山電力貯蔵技術研究サイトなど、国内の先進事例を視察。

会員状況

2期末時点で 正会員40社、賛助会員6社、特別会員6団体 計52社・団体 が参加しています。

収支決算

  • 収入合計:3252,439
  • 支出合計:1931,705
  • 次期繰越金:132734

今後の展望

3期以降は、講演会や情報共有に加え、政策提言のとりまとめに取り組み、地域から国へ向けて具体的な提案を発信していく予定です。

浜岡会長は最後に、

「皆さまの協力なくして前進はありません。共に声を上げ、秋田から新しいエネルギー社会を築いていきましょう」

と呼びかけました。

質問(秋田海陸・船木氏)

  • 4号議案の予算について、前年度決算の「管理費・事務局費」がゼロ計上となっていた点を指摘。                                                     事務局運営には実際に労力がかかっているため、本年度については適切に経費を計上し、会として正式に支出する形をとるべきではないかと提案。

回答(三國幹事長)

  • ご指摘を受け止め、次回理事会にて協議することを回答。

■講演会「北陸における広域連携・水素サプライチェーンモデル」

富山水素エネルギー促進協議会 若木陽介事務局長を迎えて
「北陸における広域連携・水素サプライチェーンモデル」をテーマにご講演いただきました。

 

北陸地域で進む水素社会実現への取り組み

冒頭、若木氏は自身が所属する 株式会社北酸(高圧ガス・産業ガス事業者)の紹介から始め、富山県内における水素製造の現状について説明されました。

富山県では苛性ソーダ製造過程で副産物として発生する「副生水素」を地域へ供給しており、これを基盤として水素ステーションの整備や水素社会の実装に向けた取り組みが進められています。
2020年には北陸で初めて水素ステーションが開業し、現在は再エネ由来の水素供給も始まるなど、持続可能な供給体制づくりが加速しています。

 

地域資源を活かしたサプライチェーン構築

若木氏は、富山県の特徴として「豊富な水力資源」と「電気を多く消費する産業集積」に触れ、これが水素関連産業の基盤となっていることを紹介。

一方で、日本海側には水素製造拠点が少なく、今後の課題として「新たな供給源の確保」が不可欠であると強調しました。

また、マグネシウム廃材を活用した水素生成やCO₂吸収材への応用など、地域産業と結びついた新技術開発にも積極的に取り組んでいることが紹介されました。

国の政策動向と地域の可能性

講演では、国の「水素基本戦略」や「水素社会推進法」などの最新政策動向についても詳しく解説されました。
とりわけ、2030年からの本格供給を見据えた拠点整備や価格支援策に触れ、地方都市においても水素エネルギーの導入を進めるチャンスが広がっていることを「強調されました。

 

おわりに

若木氏の実践的かつ具体的な事例紹介により、参加者一同、秋田での次世代エネルギー推進に向けて新たな視点を得る機会となりました。

あきた次世代エネルギーコンソーシアムでは、引き続き会員・関係機関の皆様と共に、再生可能エネルギーや水素の利活用を通じた持続可能な地域づくりを推進してまいります。

 

質疑応答まとめ(若木事務局長講演)

 

質疑応答まとめ

質問(ANEC理事 遠田氏)

  • 質問:秋田には再エネ(風力)はあるが需要地が乏しい。水素ステーションを整備しても需要と供給のバランスが取れず、事業化が難しい。水素は「運ばない方が良い」という議論もある中で、どう考えるか?
  • 回答((一社)富山水素エネルギー促進協議会 素若木氏)
    • この課題は秋田に限らず地方共通。需要地が少ない以上、余剰分は「貯める・運ぶ」しかなく、輸送は宿命的。
    • 需要に合わせた小規模導入では産業界の理解が得られず、広域での需要確保が不可欠。
    • 富山でも石川県・福井県と連携し、大規模設備の導入に取り組んでいるが、輸送コストが大きな課題。

質問(ANEC副会長 佐藤氏)

  • 質問
    1. 民生利用(水素の家庭・生活利用)の検討はあったのか?
    2. 地方で事業を進める際に、自治体間や役所同士の調整の難しさはどう克服しているか?
  • 回答(若木氏)
    1. 民生利用:エコキュートなど電気で代替できる分野が多く、水素導入はコスト面で不利。ENEOSの家庭用燃料電池も普及しなかった。よって普及の可能性は低いと考える。
    2. 自治体間調整:担当者が3年ごとに交代し理解の積み重ねが難しい。粘り強い個別訪問と国(経産省)を交えた勉強会の場を設け、共通認識を醸成してきた。

秋田市より活動報告

第3期定時総会・講演会では、当コンソーシアムのオブザーバーである秋田市 産業振興部 新エネルギー産業推進担当部長・新出 康史氏より、市の最新の取り組みについてご報告をいただきました。

 

国への要望活動について

新出部長から最初に報告されたのは、7月に秋田市が経済産業省へ提出した要望活動の内容です。沼谷秋田市長とともに東京を訪問し、関係各課の課長・室長が一堂に会する形で効率的かつ実のある意見交換が行われました。

要望項目は大きく4点(計6要望)にわたり、ANECの活動とも関係の深い内容です。

  1. GX産業立地に向けた支援制度の拡充
    • 再エネ供給地にデータセンターや半導体産業を誘致する「GX産業立地」構想に沿い、工業団地整備や関連産業の誘致支援を要請。
  2. グリーンエネルギーの「地産地活」推進
    • FIT電源や出力抑制による余剰電力の有効活用、FIT制度の参入拡大支援、地元電力の地域利用を可能とする制度設計を求めた。
    • 「資産地消」にとどまらず、地域の資産を活かし産業や経済に結びつける「資産地活」の考え方を政策の柱とすることを強調。
  3. 秋田沖 洋上風力発電の推進
    • 現在「準備区域」とされている秋田沖エリアを「有望区域」へ早期格上げするよう要望。
  4. 秋田港を拠点とする先進的CCS事業の早期実現
    • 国内有数の規模で進む二酸化炭素回収・貯留(CCS)事業について、国の予算確保と支援制度の整備を求めた。
    • CCS事業の進展により大規模投資や雇用創出が見込まれ、地域経済への効果が期待される。

環境省「グリーン水素」関連事業への採択

続いて、秋田市が新たに採択された環境省委託事業についての報告がありました。

  • 事業名:「グリーン水素サプライチェーン構想作成支援事業」
  • 実施主体:デロイトトーマツコンサルティング合同会社
  • 対象地域:全国で2自治体のみ、秋田市がその1つに選定
  • 実施期間:令和81月まで調査を実施し、翌3月に成果を環境省へ成果報告予定

本事業では、以下の検討が進められます。

  • 将来的な水素需要の推計
  • 地域での水素製造・供給事業の候補事業者発掘
  • パイロットモデルの整理・収益性分析と課題抽出
  • 実現に向けたアクションプラン策定

新出部長は、

「この調査事業の成果は、将来的な環境省の実証事業や補助事業への展開につながる可能性があります。ぜひANEC会員の皆さまにもヒアリング等でご協力いただきたい」
と呼びかけました。

 

質疑応答

報告後の質疑では、佐藤副会長からそれぞれの会員対応ではなく、ANECとしてのヒアリング参加の可能性について質問がありました。これに対し新出部長は、

「現時点では企業個別が中心ですが、必要に応じてANEC全体としての意見聴取の機会を設けたい」

と回答し、幹事会や会員との情報共有の場を調整していく考えを示しました。

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