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2025.01.17
第2回『カーボンニュートラル加速化に向けた講演会』
第2回「カーボンニュートラル加速化に向けた講演会」を開催しました
2025年1月9日(木曜日)15時より、秋田拠点センターアルヴェ2階多目的ホールにて、「カーボンニュートラル加速化に向けた講演会」を開催いたしました。
講演会はあきた次世代エネルギーコンソーシアム・秋田商工会議所・秋田風力発電コンソーシアム「秋田風作戦」の共催で行われ、各会員企業様から総勢124名にご参加いただきました。
開催のごあいさつ
はじめに、秋田商工会議所会頭(ANEC副会長) 辻 良之様よりご挨拶いただきました。
『あけましておめでとうございます。正月早々、今年度第2回目になります、カーボンニュートラル加速化に向けた講演会に多くの皆様にご出席いただき、誠にありがとうございます。
第1回目は水素エネルギー研究の世界的権威であります、九州大学の佐々木教授に「水素エネルギーの現状と秋田地域への期待」をご講演いただきました。また、11月には川崎市と甲府市に視察に行って参りまして、特に川崎市においては政令指定都市最大のCO2排出量という課題に対し、熱心に取り組まれていました。この先、秋田市とも提携を組んでいただけると期待をしております。
今回ご講演の深尾三四郎様は、実はお母様が秋田県出身ということで、大変秋田とゆかりのある方です。非常に実のある講演になると期待できますので、最後までゆっくりご聴講いただきたいと思います。』
■講演テーマ 「次世代モビリティと再生可能エネルギーを利用した秋田経済の活性化策」
講演には、株式会社伊藤忠総研 産業調査センター主席研究員 エグゼクティブ・フェロー 深尾 三四郎様をお招きしております。深尾様はモビリティビジネスやブロックチェーンを専門とし、自動車業界における世界最大のブロックチェーン国際標準化団体MOBIではアジア人として唯一理事を務められ、数々のメディアでご活躍をされております。『次世代モビリティと再生可能エネルギーを利用した秋田経済の活性化策』と題してご講演いただきました。
『次世代モビリティと再生可能エネルギーを利用した秋田経済の活性化策』
(株)伊藤忠総研 産業調査センター
主席研究員 エグゼクティブ・フェロー
深尾 三四郎 氏
秋田と関係の深い、私の自己紹介
『私は伊藤忠総研というシンクタンクで主に自動車業界の専門家として5年前から働いております。今は3足のわらじで仕事しておりまして、もう一つは、モビリティにおける国際標準化団体で理事をしております。もう一つは10月からドイツにあるヨーロッパで一番大きいスタートアップハブThe Driveryのアドバイザーに就きました。このDriveryが横浜市と提携しまして、横浜市のプロジェクトにも携わっております。
基本は年間の半分から3分の1は国内外出張で飛び回っております。その土地の提供価値、その土地ならではの技術、その土地ならではの取り組みを一緒に考えるためのたたき台を提供する講演等をしております。
今日のキーポイントは「人とAIの共存する社会」。このことについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
2年前、伊藤忠の人間として秋田に来て、それが30数年ぶりでした。私、実は三浦さん・佐竹さん・佐々木さんと親戚です。
中通りに「さが透析内科」さんがありますね。あの土地で戦後ずっと歯医者をやっていたのが私の母方の祖父になります。早川歯科でした。祖父は道楽者で、秋田犬保存会の会長もやっていました。バラ協会の会長もやっていて、秋田カントリー倶楽部に薔薇を植えたのはうちの祖父です。私が1歳の時に亡くなってしまいました。
祖母は角館出身です。曾祖父は角館町長だった菅原菊松といいます。仙北のタニマチで、佐竹さんとは遠い親戚になります。菅菊組という大きな土建屋があり、戦前の秋田のインフラは曽祖父が関わっています。
秋田に来るたびに自分のルーツをどんどん知るようになり、ファッション雑誌での随筆では秋田を取り上げさせていただいております。』
世界自動車産業の大変革から読み解く地方創生・地域経済活性化の好機
『今日お伝えしたい講演のポイントは、世界自動車産業の大変革から読み解く地方創生・地域経済活性化の好機です。自動車業界に携わっていない方でも、毎日のように自動車産業の変革が新聞・メディアで取り上げられているので、聞いたことがあるかと思います。
九州は九州、秋田県は秋田県の「画が描ける」と思います。水素の利活用には正解は一つだけではなく、地域ごとに、それぞれの地域に合った答えを探すことが重要です。
まずは「EVシフト」です。その本質をつきつめると、大きく2つあり、エネルギー産業の革新としての現象。再生可能エネルギーを中心とした、エネルギー産業のトランスフォーメーション側からみると、EVシフトは必然です。もう1つは、地域経済の観点でも重要で、イノベーションのひとつです。それによって新しい経済圏が生まれ、雇用が生まれるストーリー。海外では雇用創出を目的としてやっています。
「脱炭素」は、目に見えない二酸化炭素の削減努力をお金に変えるものです。キーワードは錬金術です。脱炭素の最大の目的は雇用創出と新しい経済圏の構築だということです。』
人口減少の先進国 秋田
『人口減少が凄まじい秋田だからこそ、ロボットAI、エネルギー消費量の多いところに選択と集中でそれを振り向けてそこから新しいアプリケーションを作って、秋田としてイニシアチブをとっていきましょう。それは秋田で風がうまれているから、そこは大きいですね。自動車業界では自動運転車が中心にあります。秋田で自動運転車を走らせて何か良いことあるかな?と、ディスカッションしていけたらいいなと思います。
昨年の10月、テスラのイーロン・マスク氏が発表したロボットタクシー。自動運転車のライドシェアです。そもそも車は5%しか稼働していません。95%は駐車されているか、渋滞で停止しています。95%は無駄な資産なんです。ロボットタクシーでは95%の不稼働時間が収益に変わってきます。
また、95%の不稼働資産の話で重要なのが、プラグインしない非接触充電です。車がEV車でもガソリン車も、充電口やガソリン口があると人が一人必要ですよね。駐車場に停めるだけで非接触で充電ができたら、ガソリンスタンド等に行く必要もなくなります。EVシフトで人手のいらないモビリティということが重要です。』
■質疑・応答
秋田県中小企業診断協会 会員 加賀谷様
「秋田では風力発電など全国的に有力な再生エネルギーがあるのですが、秋田の人口減少が多い中でAIの活用などメリットを教えていただいたんですが、秋田では比較的小規模な事業者が多く、AIの取り組みの課題になると感じられることはございますか?」
深尾 三四郎 氏
「結論からいうと“金”だけです。企業が大きいから・小さいから、それによってかけられるお金の大小があるので、中小企業が多いとAI使えないとなると、そこは自治体がサポートするという考え方ですね。もしくは取り組みとして、霞が関からお金を引っ張ってくるとか、どこの自治体もそういうお話になります。
言い方が悪いのですが“金”さえあればいろいろなプロジェクトができますね。悪い意味ではなく、自治体が戦略的に、国策としてサポートして欲しいと言う。なぜ秋田の地域でやる必要があるのか?人口減少先進地だからです―それだけで良いと思います。これがAIの自動運転をやりたいというだけだったら、他の大都市、福岡とかと競わなければいけないですよね。秋田のように人口減少先進地で地方創生というものを人口の観点で考えてそれを目的とした、地の利を活かした再生可能エネルギーを使ったアプリケーションとして自動運転のプロジェクトをやりたいです、という発想で中央に対してアピールするというストーリーの作り方ができますね。
秋田には発酵文化や杉など、秋田にしかできないよね、という部分を自治体として考えて、なるべくデジタルでコンテンツを考えていくことが重要だと思います。」
時間の都合で質疑応答は1名のみとなりましたが、秋田にしかできないストーリー作りのヒントをお答えくださいました。国内外で講演活動をされ、新聞やメディアで独自のアイデアを発信されている深尾氏の貴重なお話を聞くことのできる大変有益な時間となりました。
また、正月明けのお忙しいところ、講演会後にホテルメトロポリタン秋田にて行われました「新年会」におきましても、たくさんの会員の皆さまにご参加いただき、誠にありがとうございました。
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