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2024.10.02

『カーボンニュートラル加速化に向けた講演会』

 

「カーボンニュートラル加速化に向けた講演会」を開催しました

2024924日(火)16時半より、イヤタカ 2階ボストンホールにて、「カーボンニュートラル加速化に向けた講演会」を開催いたしました。
秋田商工会議所・あきた次世代エネルギーコンソーシアム・秋田風作戦の共催で、各会員企業様から総勢119名にご参加いただきました。 

 

 

開催のごあいさつ

はじめに、秋田商工会議所会頭 辻良之様よりご挨拶いただきました。

 

『今年度第一回目になります、カーボンニュートラル加速化に向けた講演会にたくさんの皆様にご出席いただき、誠にありがとうございます。私ども秋田商工会議所では3年前からカーボンニュートラル加速化に向けた講演会、あるいは先進地域視察を継続して開催しております。11月には水素等の製造・利用について先進的な山梨県甲府市、そして神奈川県川崎市を視察する予定でございます。

本日は水素エネルギー研究の世界的権威であります、九州大学の佐々木一成様にご講演をお願いしたところご快諾いただきました。誠にありがとうございます。佐々木教授にはご多忙極める中、来県いただきましたことに深く感謝いたします。洋上風力先進県としてポテンシャルを最大限に活かし、我々が今後どのように活動していくべきか、示唆に富んだお話を期待しております。』

 

 

■講演テーマ 「水素エネルギーの現状と秋田地域への期待」

『水素エネルギーの現状と秋田地域への期待』

九州大学 副学長・主幹教授

水素エネルギー国際研究センター長

佐々木 一成

 

講演には、水素研究の世界的権威である九州大学水素エネルギー国際研究センター長の佐々木一成氏をお招きし、国内で最も進む水素利活用の取組みを情報提供いただき、『水素エネルギーの現状と秋田地域への期待』のテーマでご講演いただきました。

 

 

社会全体のカーボンニュートラルへ

 

『エネルギー選択では、脱炭素から脱石炭、脱炭素とメガトレンドが変化しています。
脱炭素イノベーションと水素について、秋田県には水素ステーションがありませんが、政策では“水素”がカギとなり、国内の再エネ利用拡大や海外からの再エネ大量輸入、回収CO2の燃料化に水素が不可欠です。
 燃料電池は水素を介して燃やさない、直接変換で高効率発電をすることで、質的なCO2排出減となり、技術開発で日本はリードしているので、ビジネスでも勝てたらいいと思います。
 福岡モビリティショー2023では給食配送車、水素パッカー車等の多様な商用車に横展開されています。福岡市では水素パッカー車、いわゆるゴミ収集車が導入されました。夜間にごみの収集を回収している福岡市ですが、水素パッカー車なら音が静かで、眠っている方への騒音を減らすことができます。』

 

九大伊都キャンパスは「水素キャンパス」

 

『また、各水素キャリアのメリットと課題、水素ステーションの成績、水素価格と用途の拡大などさまざまな取り組みがあります。これらの取り組みは、社会に多様な価値を提供できる九州大学の水素拠点、エネルギー研究機構で産学館地域連携ができています。基礎基盤研究から産学共創、そして本格普及にチャレンジします。
 九州大学伊都キャンパスは「水素キャンパス」といわれ、世界最大規模の水素エネルギー常設ショーケースがあります。今まで延べ5万人超が視察し、2019年には環境大臣表彰を受賞しました。ぜひ皆さまにも一度見学に来ていただきたいと思います。
 九州は人口や面積等、日本の10分の1の数字が当てはまり、再エネでは太陽光の一本足打法です。これから風力発電へ接続検討ですが、秋田県さんのほうが先輩ですね。九州の地域例として、脱炭素化を国内で最速に実現できるポテンシャルがあります。

 

 九州は九州、秋田県は秋田県の「画が描ける」と思います。水素の利活用には正解は一つだけではなく、地域ごとに、それぞれの地域に合った答えを探すことが重要です。

 

「秋田モデル」では風力の豊富な再エネを使い、どのように使い続けていけるのか。また、秋田には液体水素を使える「JAXA」の試験拠点がありますね。逆立ちしても他の地域にはない、オンリーワンの強みだと思います。これからの秋田モデルに期待しています。』

 

 

■質疑・応答

ANEC副会長 佐藤裕之

「水素活用について、九州の民生についてのご感想をお聞きしたいです。」

 

佐々木一成氏

「非常に的を得た質問ありがとうございます。今日、民生のことをほとんど話しませんでした。家庭で発電するエネファームというのは壁にぶち当たっているところがあります。今世の中で低炭素から脱炭素にシフトしようとしているところに、都市ガスみたいに水素が各家庭に普及するのは、かなり先じゃないかなと思います。まだまだ手探りの状態です。」

 

 

ANECアドバイザー 遠田幸生

「1つ目は秋田での水素需要が少ないなかで、どのように進めていけばいいか。2つ目は、水素を利用したメタネーションが中心になるなかで、天然ガスの水蒸気が大きくなっていくことはどのようにお考えでしょうか。」

 

佐々木一成氏

1つ目はおっしゃる通り、地方の中でも使う量は少ないと思います。ただ、秋田さんの強いところは風力発電があるところです。秋田県ならではのメガ風力のポテンシャルを中心に構成して水素の取り組みを考えていただくのが1つだと思います。」

 

ANECアドバイザー 遠田幸生

「水素を作るプレイヤーがいないんです。」

 

佐々木一成氏

「それは福岡も同じで、三大都市圏とは違って苦しいところがあります。考えをひっくり返すと、特定の大きな企業さんに振り回されずに自分たちで考えられる、実は良いところでもあります。プレイヤーがいないという事は、実はアドバンテージにもなるという事は強調させていただきます。

2つ目のご質問ですが、確かにブルー水素、天然ガスや石炭から水素と言うのはこのご時世難しくなりました。秋田でいうと、資源関係の学科が残っている大学は北大と九大と秋田大学なんですよね。私たちは絶滅危惧学科と呼んでおります(笑)それもまたオンリーワンで、秋田大学の資源学科、リソースを有効活用できればいいなと思います。」

 

 

秋田県議会議員 武内伸文氏

「秋田の洋上風力のポテンシャルがあるということでしたが、企業を呼び込むための拠点化の効率のお話から、拠点化を進める上で、福岡と熊本まで等のつなぎ目はどのようになってますでしょうか? 2つ目は、風力発電は港に近く、海路を使って運び出すことが考えられますが、水素の場合の国内外への運び出すお考えを教えていただきたいです。」

 

佐々木一成氏

「水素は運ぶのが苦手なところがございます。秋田で水素を作ってトラックに詰めて運ぶというようなことは難しいですね。九州の場合は、再エネが余っているのは、どちらかというと南の方なんですね。熊本まででしたらそんなに長い距離ではないので、供給していただけます。熊本の半導体の工場がずらっと並ぶあたりに水電解の設備をボンボンと置いていただくと、南の方で本格的に使えます。わざわざ福岡まで持ってくる必要がないので、それぞれの役割分担ができています。

2つ目は、少し前まではオーストラリアから安い水素を買って、日本に持ってきたらいいんじゃないかな?という話がメインでしたが、インフラが世界的にひどく、そうなると日本でそこそこ安く水素が作れると、そこで作って東京に持ってくるという考えもあります。再エネもこれから増えていくと、どんどん電気が増えてきますので、いわゆる捨てる電気が増えていきます。そんなに遠い将来ではないのかなと思いますし、秋田に需要がないから、水素の可能性がないということではありません。運ぶ技術が育てば、秋田から水素を運んでいくということがあり得ると思います。ありがとうございました。」

 

 

3名の質問にユーモアを交えながら、分かりやすく的確にお答えくださった佐々木一成氏でした。
業界のトップランナーの貴重なお話を聞くことのできる大変有意義な時間となりました。

たくさんの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

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